「IB紀行」第1巻の執筆をはじめました。
出版は、2019年の1月から3月ぐらいを予定しています。
これまで、IB関連の本は、「国際バカロレアと点才教育」、「国際バカロレア満点獲得教員の授業メモ」、「IB高校生が書いた本」(指導・監修・所感)、「日本語ライティング」、と4冊ありますが、「IB紀行」は5冊目になります。第1巻は、宮澤賢治をとりあげて、現在、書き進めています。
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IB紀行
宮澤賢治の《哲学する》を旅する
Long Seller Series
論文・エッセイ・コメンタリーを書くために
IB論文例掲載:「銀河鉄道の夜」和文・英文
読者対象: IB生、帰国子女生、留学生の方
小・中・高・大・院生、国語科ほかの教員の方
IB教員・日本語教員・作家・編集者志望者の方
閑塾: IB組・執筆組・出版組
作家の《哲学した》著書を旅する
どうしても語りたいことがある。伝えたいことがある。それが著者のしずかな想いでしょう。それを彼は、国際バカロレア(IB)のテキストとして取り上げた作家とその作品を訪ねての《論文・エッセイ・コメンタリー紀行》を本書で試みています。本書は、論文執筆に直面している方々には大変参考になるものと思います。同時に著者は、これまで勉強してきたことを「閑塾」として、後輩の方々に役立てることを、ニホンジンの一人としての責任と考えています。それが本書出版の意図です。(編集室より)
著者:永淵閑 / 英訳:ーーー
まえがき――本書執筆のテーマと全体構成について
本書執筆前のプラニングとして、読者の方に伝えたいテーマを明確にするため、全体構成を丁寧に考えました。そして、「もくじ」を最初につくり、極力、その「もくじ」の見出しとそこに含まれている内容にそったものになることを心がけて書き進めています。どこまで満足できるものになるのかわかりませんが、読んでいただく方が「良い本と出会って本当によかった!」と言っていただけるように、全力を集中しています。筆者の拙い人生でも、ある本との出会いによって人生を変容させられた経験があります。たとえば、森本哲郎著によってサハラ沙漠に踏み入ったことが、その例としてあげられます。また、堀田善衛著によってスペインでの一年半にわたる旅をしたこともあります。さらに、20代で鈴木大拙の禅の本との出会いが決定的に筆者の人生をある方向に導いてきているといえます。
本シリーズでは、筆者が気になる作家とその作品をとりあげ、読解し、分析し、そしてその書評を、電子書籍とPOD(Print on Demand印刷本)で出版していきます。シリーズの一人目に取り上げる作家としては、世界的に評価が高く、ロングセラー本として、今後、内外で何百年にもわたって読み継がれていくだろうと考えられる日本を代表する作家の宮澤賢治をとりあげました。第2作は、フランツ・カフカ作品を予定しています。あくまでも、その作品の主題が普遍的で、時代の流行のものでない作品を選んでいくつもりです。取り上げる作家と作品は、あくまでも筆者の恣意的な選択による結果です。
さらに、選択した作家の作品を丁寧に読んでいくことを通じて、――それらの作品はIB(国際バカロレア)で筆者がテキストとして使用しているものですが、その作家の人生の主題、および、作品ごとの主題をみつけ、それがストーリーに、登場人物に、あるいはタイトル・冒頭部分・結末部分にどのように表現されているかをみていきます。それにより、たとえば、IBのコメンタリー執筆、帰国子女試験の小論文執筆、欧米の大学・大学院での留学生が毎週出されるエッセイの宿題の執筆、さらに、日本国内での中・高・大・院生の作文・論文執筆に、本書が少しでも役立つことを願い、一つの参考図書となることをめざしています。
作品の選択は、いつの時代でも高い評価を受け、読み継がれていくとおもわれるものを取り上げていきます。その作品が、何百年と読み継がれていくだろう理由には、その作品の底に普遍的な哲学があり、その哲学が主題となり、物語化したり、詩化したり、エッセイ化しているからでしょう。この選択はその本から強烈な影響を筆者自身が受けたということにもつながります。史上、出版された本を積み重ねると月まで届く、比喩的な言い方ですが、といわれるほど、これまで出版された本は多いですが、何百年、あるいは何千年と読み継がれていく本に限ると、数百冊ぐらい、つまり積み重ねても家の屋根の高さぐらいの分量の本でしかないかもしれません。そのうちの一冊を選び、本書シリーズの対象本としていくつもりです。
そのような作家の気になる作品を選び、それらの本の分析を通じて、作家の人生の主題、その作品で伝えようとしたと考えられる主題に近づいていきたいとおもいます。そのため、著者について、著者とその時代背景について、作品の大要について、主題について、タイトル・冒頭部分・結末部分と主題の関係について、文学的なテクニックについて、などを適宜とりあげ、その作品の内外への影響力について、さらに、その作品に対する個人的知見という項目をあげて分析していくつもりです。それらを通じて、作家や作品に近づいていく内面の旅、つまり哲学の旅(=紀行)ができるのではないか、と期待しています。
もくじ
まえがき――本書執筆のテーマと全体構成について
Ⅰ 宮澤賢治の「哲学する」生き方
――自分を彫琢し作品化した人、の人生と作品にふれる
1:「哲学する」と宮澤賢治
2:人生の主題を作品化する
3:書き言葉=思索語を大切にする
4:喜んでもらえる存在になる
5:しっかり生きてしっかり死ぬ
Ⅱ 宮澤賢治その人と作品の特徴
1:花巻の透きとった風と異界=本質世界へのいざない
2:オノマトペで言葉を超えたコトバのセカイへ
3:ドングリでもネコでも理解できるコトバ
4:本質をさらけだすネコの役割り
5:妹トシの死と哀しみと祈り
6:骨髄液としての無分別宗教心
Ⅲ 宮澤賢治の主題に焦点をあてて作品を読む
1:どんぐりと山猫
2:注文の多い料理店
3:風の又三郎
4:雪渡り
5:やまなし
6:永訣の朝、松の針、無声慟哭、青森挽歌雨、ニモマケズ
Ⅳ 宮澤賢治著『銀河鉄道の夜』を和文・英文のコメンタリーで読み解く
コメンタリー 「銀河鉄道の夜」 (和文)
Commentary 「Gingatetudo no Yoru」 (英訳文)
Ⅴ 本は外に出た脳――関連図書
Ⅵ 宮澤賢治年譜――生きた軌跡
Ⅶ 閑塾――IB組、執筆組、出版組
あとがき――筆者がなぜ本を書くのかについて